設立背景と目的

設立背景

人類は常に多様化し、互いに競争・協調・依存・適応して共進化することにより社会を発展させてきました。しかし近年の技術革新は従来の共進化のスピードを超え、人類が経験したことのない急激な社会変化が顕在化してきています。例えば、都市部におけるヒト/モノのモビリティについては様々な交通機関が混在し、その結果、一部の利用者が都市交通システムの経済的効率、利便性、安全性などが享受できず、交通弱者問題を発生させています。一方、都市以外の地域においては、移動・流通システムの効率化のため交通弱者が増加しているという課題もあります。

このような状況を改善し、今後さらに進む社会の多様化や高齢化、過疎化にも対応できる革新的な「パーソナルモビリティサービス」の登場が求められます。またこのシステムを支えるエネルギー及び情報システム等の社会インフラの改善も必要となります。これらの問題を解決するためには、多様なヒト/モノのモビリティに対する情報を各種センサーで取得し、それらを最適化するビッグデータ処理を展開する都市基盤システム(都市OS)の構築や、それと連動した都市開発計画が必須となります。更に近年のICT技術の発達は産業革命以来の技術開発のスピードを遥かにしのぎ、これまで不可能とされていた技術革新を可能とし、その影響は社会システムのみならず経済システムにも及び、抜本的な法規の改正までも含めた社会全体の本質的な改革を急務としています。

拠点の目的

未来社会では全ての人のニーズに応える為、現在の自家用車や都市交通をも凌駕するほど便利で速く、しかも安全で環境に優しく低コストな「次世代公共交通システム」や、現在の”クルマ”という概念や形状を超越した個人向け“オンデマンドモビリティシステム”、高齢者や障害者がいつでも、どこでも、いかなる状態でも安全に室内から目的地までシームレスな移動を可能にする“簡易移動補助システム”などが必要となります。また、それらを効率的に組み合わせ、最先端のICTをフルに活用した都市OSの構築が必須となります。
このようなシステムは、現在さまざまなセンサネットワークにより収集している交通や人の移動に関するデータを統合させ、ヒト/モノの流れを包括的に最適化できる次世代の「交通・物流最適化制御サービス」により確立されます。同様の技術は室内での人の動きに合わせてコンピュータやロボットがアシストする「ヒト/モノ/ロボット共生快適生活空間」の開発にも応用でき、総体的に人々の生活を豊かにすることが出来ます。またこれらの変革を実現するには各種の規制や法令等の経済活動のルールなども含めた新たな社会システムの構築も必要となります。

本拠点においてはこの様な共進化社会システムを創成するために、ヒト/モノ・エネルギー・情報のモビリティを実現するための基盤的な技術を確立すると共に、現代数学を駆使したマス・フォア・インダストリ(IMI)のアプローチに基づく新しいイノベーション手法を活用し、エネルギー・情報(ICT)関連の革新的技術とその経済的評価システムを統合することで次世代の基盤ネットワークシステムを構築します。またこの様な革新的なシステムやインフラ、サービスを国内のみならず世界の都市に社会実装することにより、既存の社会的な制約やインフラの制約から脱却して、自由に移動と流通が行える活気あるイノベーティブな社会を地球規模で創造します。また科学技術イノベーション(CSTIPS)政策の手法を加えることで社会システムから経済政策・法規を含めた社会全体の改革を推進します。

拠点の達成目標

共進化社会システムの構築は、我が国における少子高齢化に伴う労働力人口の減少と、それに起因する富の減少に伴う社会インフラの維持困難や行政サービスの劣化など、社会そのものの持続性に深刻な影響を与える問題の解決につながります。このシステムはこれまで充分活かされていなかった女性、高齢者、外国人などの社会貢献を高め、社会の活力維持を図ることができます。本拠点の目的として以下のものを挙げます。

  1. 公共交通とパーソナルモビリティが一体化・連動した人間工学に基づく交通・物流サービスの創成
  2. 持続可能な環境と活気ある都市活動を常に支える安全・安心なエネルギーシステムの整備
  3. 高齢者、子供、外国人にもストレスなく使える対話型表示システムによる国際的共進化社会の構築
  4. 全てのシステムを有機的につなぎ持続的に支える強靱な社会ネットワーク都市インフラの整備