設立背景と目的

設立背景

古来、人類は都市運営の技術を蓄積して継承してきましたが、近年都市化に伴うさまざまな問題が顕在化しています。例えば、化石燃料の大量消費によるCO2増加、その結果としての地球規模の温暖化が進展しています。また、都市部におけるヒト/モノのモビリティについては様々な交通機関が混在し、その結果、一部の利用者が都市交通システムの経済的効率、利便性、安全性などが享受できず、交通弱者問題を発生させている一方で、都市以外の地域においては、移動・流通システムの効率化のため交通弱者が増加しているという課題もあります。さらに人口の都市部への集中による都市部と過疎地の格差・貧困問題、先進国を中心とした高齢化社会の進展などが見られるようになっています。

このような状況を改善するためには、エネルギーや交通など個々に課題を解決するのではなく、「都市の諸機能の統制システム」そのものを変革する必要があります。例えば、多様なヒト/モノのモビリティに対する情報を各種センサーで取得・解析し、目的に応じて最適化するビッグデータ処理をベースとした「都市の諸機能の統制システム」(都市OSプラットフォーム)を構築、それと連動した都市開発計画が必須となります。更に近年のICT技術の発達は産業革命以来の技術開発のスピードを遥かにしのぎ、これまで不可能とされていた技術革新を可能としていますが、その影響は社会システムのみならず経済システムにも及んでおり、抜本的な法規の改正までも含めた社会全体の本質的な改革が急務となっています。

拠点の目的

当拠点では上記した「都市の諸機能の統制システム」を「都市OSプラットフォーム」と呼び、これによってより都市化に伴うさまざまな問題を解決し、快適な生活空間を人々に提供することを目指しています。
交通においては全ての人のニーズに応える為、現在の自家用車や都市交通をも凌駕するほど便利で速く、しかも安全で環境に優しく低コストの「次世代公共交通システム」や、現在の”クルマ”という概念や形状を超越した個人向け“オンデマンドモビリティシステム”、高齢者や障害者がいつでも、どこでも、いかなる状態でも安全に室内から目的地までシームレスな移動を可能にする“簡易移動補助システム”などが必要となります。エネルギー、環境についてはこれまでのエネルギーの大量消費を根本的に見直し、太陽光や風力など自然エネルギーへの転換、エネルギー消費の削減を進める必要があります。さらに、人々の生活を豊かにするための種々のサービス、安心・安全を確保するためのサービスなど人々が必要とするサービスを次々と生み、新しい産業として育てていく社会の構築が必要です。

本拠点においてはこの様な共進化社会システムを創成するために、さまざまなセンサネットワークにより交通や人の移動、エネルギー、市民の活動など様々なデータを収集し、マス・フォア・インダストリ(産業数学)のアプローチに基づく新しいイノベーション手法を活用して次世代の基盤ネットワークシステムとなる都市OSプラットフォームを構築します。このプラットフォームは価値観の多様性に対応できる「柔軟性」と価値観の変化に応じて創造的に進化することができる「革新性」を備えたものであり、これをもとにエネルギー、モビリティ、市民サービスなどの革新的なシステムやサービスを国内のみならず世界の都市に社会実装することにより、既存の社会的な制約やインフラの制約から脱却した活気あるイノベーティブな社会を地球規模で創造します。さらに科学技術イノベーション(CSTIPS)政策の手法を加えることで社会システムから経済政策・法規を含めた社会全体の改革を推進します。

拠点の達成目標

共進化社会システム創成拠点の達成目標は以下の通りです。

  1. 全てのシステムを有機的につなぎ持続的に支える強靱な社会ネットワーク基盤としての都市OSプラットフォーム構築
  2. 持続可能な環境と活気ある都市活動を常に支える安全・安心なエネルギーシステムの整備
  3. 公共交通とパーソナルモビリティが一体化・連動した人間工学に基づくモビリティサービスの創成
  4. 高齢者、子供、外国人を含めた市民に対して安心・安全、見守り、健康などのサービスの提供